<駐在員向け中国プチ情報>戦争の裏で中国の国会

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今回は2022年3月11日(金)に閉幕した中国の両会がテーマです。

全国人民代表大会

中国人民政治協商会議

この2つの会が同時に行われることから両会と呼ばれています。

5000人以上が全国から北京に集まるビッグイベントです。

1年に1度開催され、中国内では大々的にニュースにもなるのですが

「名前だけは知っているけど、実際何をやっているのかな?」

という中国赴任者の方に向けて書いていきたいと思います。

  1. 両会の役割と日本との違い
  2. 2022年両会のトピック

1. 両会の役割と日本との違い

全国人民代表大会
中国人民政治協商会議

この2つが同時に行われています。

まず日本でも全人代と略されて有名な全国人民代表大会についてです。
(ちなみに中国では人大と略されます)

日本で言うところの国会(立法)にあたる機関です。

しかし日本との違いは三権分立という構造ではなく、全国人民代表大会は最高権力機関とされています。

行政権(日本で言う内閣)
司法権
よりも強いということで、すべて全国人民代表大会により選ばれ、監督されることになっています。

そもそも憲法が違うので民主集中制という規範がとられており、人民から選ばれた代表、指導部に国家権力を集中するという風になっています。

人民から選ばれるという意味は実は選挙をしているということです。

各地方の県以下では立候補と直接選挙が行われています。

そこからは間接選挙で県の人民代表大会の中で選出されていき、省、次いで全国代表と選ばれていくという流れです。

なので人民の代表、人民の意思の繁栄すなわち民主ということになっているのです。

実際は日本のように、選挙活動やポスターなど派手にやらないし、投票権に関しても周りの中国人に聞いてみても都市で普通に働いている人からすると一般的なイベントではないようです。

代表の中には有名な小米,京東の創業者もいれば、有名な俳優や歌手なども入っています。

有名な企業の経営者はだいたい代表です。

全人代の定員は3000人以下で任期は5年、直近では2980名となっています。

ちなみに日本は衆議院、参議院併せて700人程度です。

全人代の開催期間は毎年3月から2週間でしたが、2020年以降は1週間くらいになっております。

日本の通常国会は150日間なので比較するととても短いことがわかります。

主に昨年度の政府活動報告から始まり(GDP、税収、などの成果報告)、憲法改正、法律の制定国家予算や決算の審議経済政策の審議が行われます。

次に中国人民政治協商会議(政協)です。

実はこちらの方が歴史が長く全人代が始まる前は政協に上記の役割がありました。

全人代ができた後は主に諮問機関、アドバイスや提言を行う機関とされております。

中国には実は8つの党があり、それに加えて業界団体(経済、農業、教育、医療などなど)少数民族、香港、台湾、マカオなどの行政区で構成されています。

選挙ではなく、政協の要請や協議、各党や団体の推薦により参加可能で、直近では2156人います。

こちらも任期5年なので、全人代と同時期に入れ替わりがあります。
(昔はジャッキーチェンとかもいたようです。)

日本の国会や内閣にも○〇を考える会など専門家を呼んできて、政策づくりのアドバイスや意見をもらう場がありますが、それに似ているような機能ですね。

日本ではこんなに大々的に実施されてないですが。

政協には決定権はないですが、政府に対して提案を提出したり発言する権利があります。

政府に対して、多様な人から様々な意見やアドバイス、批判を取り入れ、政府運営に反映させる役割とされています。

簡単に説明してきましたが、こうした2つの会が同時期に開催されているのが両会です。

2.2022年両会のトピック

なぜ注目されるかというと、ここで去年の総まとめと今年の予想GDPや予算などが発表されるからです。

海外でもニュースになります。

成果や実績と予想がしかもすごく伝わりやすいグラフや数字にまとめて公表されます。

一年に一回のイベントなので企業の業績発表のようでわかりやすいです。

この部分は日本でも大々的にやってほしい部分だと思います。

【主なトピック】

  • 2022年のGDP目標は5.5%成長 →2021年は前年比8.1%
  • 失業率目標 5.5%以内 →2021年は5.5%前後
  • 新規就業者1100万人増加させる →前年と同じ
  • 財政赤字幅 2.8% →2021年は3.2%ですが、支出総額としては8.4%増となる予定

などなど、今年の目標が数値で発表がされます。

減税政策等も2021年からの継続することが明言されており、2022年コロナ下における経済への支援を緩めることはないということでした。

こういった情報はニュースにもなると思うので、個人的に面白かった内容を見ていきますと

【2021年賄賂等で捕まった人が5006人】

すごい数の人が腐敗要因で捕まっております。

日本と違い、公務員でなくても収賄の罪があるのですべてが公務員や警察ではないと思いますが。

以前よりましになっているとはいえまだまだ政府が力を入れる問題だということがうかがえます。

【製造業の人不足問題】
2020年時点で製造業の働き手が全国で2200万人不足しているという話題があり、毎年150万人もの労働者が製造業から離脱しているという問題が、今年も議論されておりました。

ある代表、製造業の企業家が若者に対して
「出前の配達員をせず、工場で働くことを推進しよう」
と言ってネットで物議になっていました。

データ上も新規に配達員として働いている人の40%が製造業からの流出とされており、製造業の発展を重視する国と労働者の現状に大きなギャップがあり、製造業への人員不足解消のため環境改善、臨時工への収入保障等などを政府に求めるという議論も出ていました。

このような問題に対して、工場に対して給料や待遇改善の圧力が働く可能性は十分にあり得ると思います。

他にも議題は多岐にわたり

メタバースについて、カーボンニュートラルについて、自動運転政策などの最新の経済的課題から

中秋節を2日にしたい、中国医学、漢方を文化遺産にしたい、人身売買の防止、安楽死についての議論、子供の視力低下の防止・・・挙げだしたらきりがないですが「え、そんなことまで?」と思うくらいすごく広い範囲での議論がされているのでぜひ、興味のある議論がないか探してみても楽しいかもしれません。

長くなりましたが本日は中国の両会について説明してきました。

最後までお読みいただきありがとうございました!
長々とお付き合い頂き、ありがとうございました!



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