こんにちは!
カイゼン研究会の宇賀です。
今回のテーマは「伝わる」とは結局どういうことなのか?です。
経営者の方々や、管理職の方々とお話しする中で
「話したことが部下に伝わっている気がしない」
「部下が本当に理解しているか疑問」
ということをよく伺います。
順を追って言うと、
上層部の方が持っている危機感、問題意識→このままではいけないという気持ちがまずあります。
それは今時点ですごく大きな問題が起こっているわけでなくても、
自分の会社の未来を考えたときに、今の生産システム、管理体制では変化についていけなかったり、
持続的な生産レベルの向上は望めないのではないか?という、
上層部の方々の高い危機感がきっかけ、動機となって、現状を変える活動をしたい!
という気持ちにつながっています。
そして、その気持ち、やりたいことを部下に伝え、アクションを起こそうとします。
(その時は部下に伝わったように感じる)
しかし、いっこうに行動や習慣が期待したようにならない、結局変化が生まれない。。。
ということが起こり、時間だけが過ぎていくということのようです。
このプロセスを考えたときに、「伝わる」という部分に何かヒントがあるのではないか?と思ったので、今回はこの部分を考えてみようというテーマです。
では、まず「伝わる」という行為の中で何が伝わるの?(what)かというと「情報」です。
先ほどの例で言うと、危機感、問題意識などのものはすべて情報とします。
すごく大きなくくりなのですが、何かしらの情報を、対象に届けることが伝えることという定義とします。
では、また考えないといけないのは「情報」って何なのか?ということです。
情報を集める、情報共有する、情報社会etc、様々な場面で何気なく使う単語なのですが、実際は、どういうモノを情報と呼ぶのか?ということを調べていきます。
Wikipediaだけでも膨大な量の記述がありましたが、少し複雑すぎて、「伝わる」ということを理解するのが余計難しいと感じたので、さらに調べると・・・
情報とは、差異(違い)を生む差異(違い)である(ベイトソン・・人類学者)というすごくシンプルで分かりやすい定義がありました!
つまり、情報とは違いを生むものである。
逆に違いが生まれないものは情報ではないということです。
例えば、朝天気予報を見ると天候は雪、気温は-5度ということだったら、それを知ったことで、今日の服装を決めるという行動に違いを生み出します。
(厚着しておこう、傘も持って行こうとなる)
知る前と知った後で違いが生まれるものが情報。
逆に、何気なく見ているテレビなどでも、まったく影響されていなかったら音や映像であっても情報とは言えないということです。
なので、ここでは知る前と知った後で違いが生まれるものが情報という定義にします。
この情報の定義は、本日のテーマである「伝わる」ということにダイレクトにつながります。
情報の伝達が伝える、伝わるということであれば、その情報を受け取った後に行動や考えに違いが生まれることが本当の意味での「伝わる」ということになります。
この「伝わる」という意味をはっきりさせたうえで、じゃあなぜ部下に伝わらないのか?(変わらないのか?)ということを考えます。
話し手=伝える人
聞き手=伝わってほしい人
の2つのプレーヤーがいますが、話し手目線で考えます。
話し手で考えうる問題は2つあります。
- 伝える情報の中で、相手に期待している違い(変化)が明確でない。<情報の質>
- 期待している違いの量が多すぎる。<情報の量>
1についてですが、今までの定義からすると相手に何らかの変化を期待して、情報を伝えるはずです。
しかし、相手にとってその違いがわからないということはあり得ます。
そうなると、そもそも情報とは言えなくなります。
(せっかく話したのに、先ほどのテレビの例と同じになってしまう)
これに関しては、情報が具体的になっていないということが原因の一つです。
伝えた後にこういう変化を期待しているということが、伝え手と聞き手の感覚の違いから、同じ情報となっていないのです。
例えば、今後の経営危機やこのままの生産システムでは競合に勝てないんだ。何とかしないといけない。
ということを部下に話します。
部下の中で、こういう生産体制にしたいという構想や理想を持っていれば、その情報とつながり、それを実現しようとする行動へのきっかけとなる情報になります。
しかし、そうした理想、構想を持っていない部下であれば、その情報を聞いたときに、うまい相槌をするだけになります。
なぜなら、この部下は具体的にだからどう変化してくれということを考えるのは自分の範囲ではないと思っているからです。
(この部下にとってはまだ情報ではない)
じゃあその考えや具体的な構想が出てくるまでは、自分は待ちの状態ということです。(変化なし)
しかし、伝えた側がその時点で部下の行動の変化を求めていたとすると、お互いに待っているまま時間が過ぎていきます。
(伝え手の考える納期が来て何も変化がないと、伝わっていないなとなる)
なので、聞き手のレベルに関わらず、具体的な求めている変化と、その納期というのを伝えて本当に変化したか=伝わっているか、を見ないといけません。
(もちろん具体的な内容は部下と一緒に考える、考えさせるということで良いですが、そのアイデアを出すという行動を求めているということを伝える。)
次に「期待している違いの量が多すぎる」ですが、変化を求められている内容が多すぎて処理しきれないということが起こります。
1つの情報を伝えられ、それもできていない中、また次の情報が来るといった場合、行動や違いに変化が出る前にまた新しいことを求められると、途中から、情報として認識しなくなります。
(その人が伝えてきた内容に対し、特にいつまでに変化を求めている訳ではないなと解釈するようになる)
せっかく伝えていることを、情報として受け取ってくれなくなるということが起こります。
一つ一つ、伝わっているか(変化があるか)を確認しないと「伝わる」ということが達成しない習慣がついてしまいます。
もう1つは1度に伝える情報が多い場合ですが、これは聞き手が優先順位をつけられない場合、
処理ができないのでそこをサポートするように伝えないといけません。① の具体的に伝えると同じです。
かなり抽象的で長々と書いてしまったので今までの考えをまとめると、
「伝わる」ことの意味が情報を伝えた相手が、何らかの変化をするということだとすると、伝える情報は具体的でシンプル(変化してほしい内容が明確で、絞られた状態)にし、期待通り変わったどうか検証できるようにしておくことが「伝わる」ためには必要ではないかということでした!
本日も最後までお読みいただきありがとうございます!