<TPS>工場ってこんな世界だったの?工場の神様が見ている景色

こんにちは!

カイゼン研究会の宇賀です。

工場ってこんな世界だったの?

こんなすごい人達と自分は仕事できるのか!?


大学を卒業し自働車会社に入り、希望通り工場で働けることになったのですが、そこで出会う人、出会う人、すごい人(変な人)ばかりで。。

もともと自動車会社に来たからには工場に行って、生産方式を習得するんだという意気込みでやってきたので、新人ながらやる気と自信はありました。

どんどん工場で結果を出していくぞと思いながら、仕事を始めていきます。

しかし、ここからが衝撃だらけなのです。

まず最初にTPSの研修で出会った教官がいます。

研修ではTPSの考え方の基本を習うのですが突然、自分にこんな質問が来ます。

「君、パンツ何枚持ってるの?」

!? 多分6、7枚くらいですかね(・・・どういうこと?)」

「自分の持ってるパンツの数も分からないの?

週に何回洗濯するの?洗って乾くまでどれくらいかかるの?

それが頭に入ってれば、何枚必要かわかるよね?

そういうこと考えずに買ってるってこと?」

「そこまで考えてなかったです。。。(うそでしょ~?)」


すごく衝撃的な出会いでした。

日常の生活すべてでムダな在庫がないかどうか?やかんばん枚数の計算を考えているってこと??

こういう人たちが会社にごろごろいるのかと。

(ちょっと変で怖いけど、面白い会社やなと。)

(こんな人たちと戦っていくには、どうしたら良いかと考えるきっかけにもなりました。笑)

ここから、毎日勉強が始まります。

研修も終わり工場でやっと働き出し毎日朝から現場に行き、生産管理板を見たり、在庫を数えたりする日課が始まります。

毎日現場に行っていると、製造課長も、朝現場をうろうろしていることに気付きます。

(製造課長は現場で最も偉い人で、何百人の中で数人だけがなれる役職です。)

そんな課長がどんな視点で現場を歩いているのか?

これがすごく気になったのでいろんな課長に聞いてみたことがあります。

「課長は毎朝現場をうろうろしていますが、どんなところを気にしているんですか?」

(うろうろって言うなと怒られました!)

ある課長は

「毎日同じ時間に、同じルートを通って、人だけを見てるんや。特に管理者がどこにたまってるかを見てる。だいたいそこに問題がおこってるからな。」

またある課長は

「設備課のやつらがどこにおるか見とけば、どこが悪そうかわかるわ」

「加工の切粉を見とけば、順調に生産できてるかわかるぞ」

などなど、自分の出身(加工や組付け)によって着眼点は様々なのですが、共通しているのは数字に表れない部分を見ているということ

生産数などの数字に関しては朝会の報告を聞き大体わかっているので、課長自身が現場回る時には従業員の様子から異常がないか探しているということでした。

数字を聞くことであたりをつけているのかもしれませんが、見える化できている部分は管理監督者に任せており、課長自身は、もっと定性的な予兆のような部分を見ていることに、現場の長ならではの部分を感じたのでこれも真似することを始めました。

また、ある会議では1つの新しい設備が、想定していたサイクルタイムより0.2秒遅いということが議題になっており、現場の管理者と技術員が討論しているところに参加しました。

0.2秒でここまで必死になるのかと新人ながらに驚くとともに、ほとんど、ムダのない動きに見える設備の動作を一つ一つ分解していき、最終的には設備のアームが動く角度を少し変えることでアームの動く距離、時間を短縮することに成功していたのです。

彼らの賞味作業(付加価値を生んでいる部分)は何か?を見つけるセンサーに驚かされました。

当たり前のように動いているロボットでも、しかも0.2秒というわずかな時間であっても真剣に無駄な部分はないか探し、動きの角度を変えるだけで、付加価値のない部分を短縮させることに脱帽しました。

工場に入ってわずか3か月ですごい人たちに出会います。

その「すごい」というのはTPSの知識が豊富だということと最初は思ってたのですが、どうも違っていたと気づきました。

基本的なTPSの知識があるのは当たり前ですが、それを、教科書通り、文字通りの知識になっているのではなく自分の言葉、自分の経験(自分の趣味や生活)にまで意味づけされているので、教科書とは別の言葉で表現し、伝え、実践することができるのです。

例えば、ある課長は剣道が好きなのですが、管理者の仕事について(基準を作り、基準を守らせ、基準をよくするという内容)武道と一緒で守破離(しゅはり)だと教えてくれました。

基本の型を習得し、それ通りできるようになりもっと良くしようと、型と違うことをしてみる。

そして、さらに進んで型から離れて違うやり方を探していくんだと。

こういう風に、一つ一つの意味を自分の中で昇華している人たちがたくさんいることが驚きましたし、うれしかったことです。

そういう人たちと新人の時に出会うことができ、どうやってこの人たちと戦って、同じ舞台で仕事をしていこうかと試行錯誤できたことが、今思えば力になっているんだなとしみじみ思います。

すごい人ばかりだったなと。

最初は知識や経験を求めていたのですが、気付いてみるとそれをどう自分の中でどう意味づけできるかということが一番大切だということに気付かされた3か月間でした。

今回は新人として工場に入り、たくさんのすごい人(変な人)との出会いの中で教えられてきたことが今につながっているなと思い、長々と書いてしまいました。

これからも精進してまいります! 最後までお読みいただきありがとうございました!

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