<TPS>生産性目標、生産性指標・・・現場の生産能率を測るということ

今回のテーマは「現場の生産能率を測るということ」です!

様々な工場を回らせていただいている中で、生産性目標や生産性指標を見せてもらうことがあります。

計算の仕方は各社それぞれなのですが、場の頑張り、または逆にさぼっていることが数値で見えていれば目的は達成されていると思います。

(数値で問題点がわかる状態)

本日は前職での能率、生産性について書いていきたいと思います。

今振り返れば、日々現場の人たちは能率を考えながら仕事をしていたのだなと実感します。

新人の頃にはそれが理解できず、在庫置き場のレイアウトを変えたいので、こういうレイアウトに置きなおしてもらえませんか?と頼んでも「今月は能率が厳しいから無理だ!」と断られ、ちょっとモノをリフトで動かすくらいなのにすごくケチな人たちだな。と思ったりしてました。笑

しかし、実際は生産というのは驚くほど厳密に時間を設定されており、その中にQC活動やカイゼン活動も組み込んだ計画を立てたうえで、日々仕事をしていると後々知ります。

(本来の作業以外を手伝ってもらったり、わがままを言って申し訳なくなりました。)

ではどうやって管理されているかというと(トランスミッション工場の場合)月次の流れはこうです。

世界各地のディーラーから今後3か月の販売予測台数を集計します。

(営業)

そして、営業と生産管理部が各工場の生産能力や在庫状況を鑑み、各工場のオーダー数を決めていきます。

例えば、違う拠点で同じモデルの車両を生産していても、エンジンがボトルネックとなっていたりすると、エンジンを日本の車両工場に出荷するか、アメリカの工場に出荷するかで取り合いになります。

ここで販売力の強さや、今までの実績(信頼感)が出てきます。

来月これだけ売るから、3か月でこれだけくれと言っていたのに大規模に未達し、次月の計画調整になると、かなりオーダーを下げてくる(売れ残っている)ということが多いと、信用されません。

ちなみに南米や中国は強気のオーダーを出してきて次月にオーダーを減らすということがよくあります。(売る車を多めに確保するため)

しかし、生産している側からすると3か月スパンで生産体制(タクトタイムや在庫量)を決めるため次月に急に下げると言われても、対応が難しいのです。

(3か月は従業員が動かせないなどのネックがある。)

という営業↔生産管理↔工場の調整を通し、各工場のオーダー数が仮決めされます。

(月3回この調整があり3回目で確定)

そして何を何台作るかという生産計画が決まると次は工場の原価グループが製造課に予想製品時間(計画)を算出します。

製品時間というのは基準時間×合格数というもので生産による付加価値の部分になります。(アウトプット)基準時間というのは製品1つを作るために必要な作業時間です。

基本的には作業時間の実測値で積み上げて構成されており、それに間接作業時間と呼ばれる、前後の準備や、生産管理板への記入などを加えて時間でできています。

監督時間という監督者として本来の仕事をする時間というのもここに明確に含まれています。

(上の作業時間に1割かそれくらいをかけたものだったような。。係数的に出していたような気がします。。。)

合格数は各工程の良品の数ですが予想の時点では計画台数が入ります。

そして予想製品時間というのができまして、製造課に配られます。

ここで生産能率が重要になってきますのでやっとご紹介します!

生産能率=製品時間(アウトプット) / 総作業時間(インプット)

という計算式になります。

実際は総作業時間には基準総号口率というものをかけるのですが、複雑なので割愛します。

(QC活動の時間や鍛造課などはに、段替え等の通常の繰り返し作業の時間(号口時間)以外が多かったりするので、それを公平に扱うために、基準総号口率というのが設定されてます。

簡単に言うと同じ作業時間の中でも各職場によって、通常の生産に使うことのできる時間が違うので、それを調整しています。

それを示す指標の総号口率というものもあります。

号口作業時間÷総作業時間となりますが、これが100%だと通常生産以外のことをしていない、つまりQC活動や安全活動など、職場の運営に必要なことをしていないということになってしまうのです。

(基準に対して低すぎても、トラブル対応などが多くて本業に専念できていないとなりますが。。)

話がそれましたが、予想製品時間を受け取った製造課は今月の総作業時間をどれだけにするかという予想を立てます。

何人で、残業はどれだけでという計画ですね。

ちなみに総作業時間は人員数×出勤率×作業時間となります。

生産能率が1だとインプットとアウトプットが同じということを意味しており1.0以上を目指すのがカイゼンの成果となります。

そしていざその月に入ると、製品時間(良品の実績)と、作業時間(要員の作業時間)の実績をとりながら能率の管理を毎日実施し、年間を通して前年比の3%向上を達成するということを毎年続けることを課せられています。

本日は大まかに書いてきておりますが、この管理は非常に厳しく、毎月全社に向けて報告する数字となっています。

本社にも工場にも原価マンがおり、この数字に目を光らせている中現場は成果を出し続けています!

少なくとも私は年間で未達している製造課を見たことがないです

もちろん計画通りにオーダーが来ないこともあるのですが、それは製品時間が予想より変わるということなのでその分、現場は投入する時間を調整することで対応します。

オーダーが下がったから、能率が下がったというのは理由にならないからです。

インプットの時間をうまく調整できない管理者は能力がないと思われてしまいます。。

課長や工長、組長たちは、自分たちに与えられたこの製品時間をやりくりしながら、目標達成に向けてカイゼン活動を行い、日々の人員数残業時間を決め、生産を遂行しているのです!

本当に頭が下がります。。

マネジメント(管理)ということを言葉の意味通り実施しているのはやはり現場なのだと痛感しました。

(現場以外はここまでの管理がされていないのが実情です。。。)

すごいのはこの頑張りが見える仕組みを確立していることと、それを現場が理解し、運用できているということです!

上層部だけが見て、指示を飛ばすのではなく自分たちが異常に気付き、行動していく習慣が徹底されています。

本日は生産性、能率の管理についてトヨタではどう行われていたかを中心に書いてきました。

自社でも様々な取り組みをされていると思いますが、ご参考になればうれしいです! 最後までお読みいただきありがとうございました!

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