おはようございます。
カイゼン研究会(a-Sol上海) 宇賀です。
手も足も出なかった。
本当にお手上げだった。
何もできなかった。
ということを
上海に戻る飛行機の中でも
まだ振り返っていました。
陶磁器で有名な街
江西省の景徳鎮という場所に行ってきたのですが
いたるところに
工芸品ショップや高級陶磁器のテナントがあり
電信柱やガードレールにも
景徳鎮の陶磁器で有名な柄
青花が描かれているような街並みです。
(白がベースで青色で花模様が描かれている陶磁器が有名)
自然も残る郊外の4級都市なのですが
ここ数年のブームで
若い旅行者があふれる街となっています。
夜市や市場のような
出店が集合した場所がいろんなところにあり
食器から、雑貨からすべて陶磁器が並んでいます。
1000年以上の歴史があるようで
豊富な陶土があったことから
皇帝の窯(皇窯)と呼ばれ
皇帝の食器や装飾品、壺などが
高い技術で作られ
水運にも恵まれていた立地という事もあり
全国だけでなく、
海外へも出荷され高い評価を得ていたそうです。
今でも世界中のバイヤーが注目している場所です。
そんな場所で
陶芸体験をしようということになり
ある陶芸教室を訪れました。
初めてだったので
先生の指導のもと進めていくのですが
教室に入ってすぐに
陶芸家のようなエプロンを着せられ、
手を洗い、ろくろの前に座り、準備が整いました。
髪がぼさぼさで
ひげを蓄えた
いかにも匠のような先生が
成形の流れを教えてくれます。
ろくろに
材料となる粘土が準備され
ソフトボールくらい、いや
ハンドボールくらいの大きさの塊が
置かれます。
ろくろが回転を始め
「まずはこの回転数で圧をかけ空気を抜き、基礎を作ります」
と先生が説明しながら手本を見せてくれます。
もう、その時点で
説明と必要な動きの多さが合っておらず
置いてきぼりになってしまいます。
粘土はまるで生き物ように
伸びていき、さらにまた圧縮され
円錐台(プリンのような形)になって
基礎作りが完了とのことでした。
ここからは
テレビなどで
見たことのある成形工程で
回転数を上げ
親指を当てながら
目指す形を作っていきます。
この工程は当たり前にできる
ということなのか
特に説明はなく、手に水をつけて
指をあてればできるという程度でした。
ここまで見本を見せてくれ
では、やってください
ということで始めます。
始めてみるとまず、
まったく基礎が作れません。
水を使ったり、力いっぱい押し付けてみても
手本のようにはなりません。
ただ濡れた粘土が回っているだけです。
助けを求めようと
先生を探しますが
時間が来たので帰宅したとのことでした。
アシスタントのバイトの方も
別のことで忙しそうで
手伝ってくれる様子もありません。
もう
見よう見まねで
やるしかないので
基礎作りはあきらめ
成形を進めます。
本当は
日本酒を飲む徳利のような形を
作る予定でしたが
こんな状況なので
かなりレベルを下げて
普通のお皿を作ろうと
目標を心の中で下げました。
何の工夫もない
皿くらいなら簡単に作れるだろう
と思ったのですが
まったくうまくいきません。
ゆがんではやり直し、
ゆがんではやり直し
やっとできそうかなと思ったら
皿ではなくピザのようになり
角度が保てないのでやり直し
というように
1時間半ほど経っても
また基礎からということを続けていました。
手も服も粘土だらけになり
知らぬ間に
もともとあった粘土の量も
野球ボールくらいの小ささになっています。
やり直し、水で手を洗いを
繰り返している中で
粘土がなくなりかけていました。
形も作れず
粘土も減っていき
もう挽回は無理だと絶望したので
もう最後の手段で
ろくろを使うのをやめ
粘土をこねて皿を作ろうと
していたところ
バイトのお兄さんが
それを見かねて手伝いに来ました。
再度ろくろを回し
お兄さんが私の粘土を触るなり
「この粘土
では作れない。水が多すぎる」
と粘土を捨てました。
おそらく1時間以上は
形にならない
意味のない粘土を練っていたとは。。
もっと早く言ってくれよ
と思いながらも
集中も切れたので
ちょっとたばこを吸います
と休憩に行きました。
帰ってくると
すでに
粘土の皿が出来上がっており
「あっちで色を塗ってきてください」
と言われ
ろくろの前から去ることになりました。
こんなに長いこと生きてきて
いろんな経験、学びをしてきたのに
かんたんな皿
一枚も作れないのか、と
なぜか、かなりショックを受けました。
夏目漱石の「こころ」の中で
父が私に向かって
「学問をさせると人間が理屈っぽくなっていけない」
と言うシーンがあります。
農村で体一つを武器に生きてきた父が
稼いだお金で主人公である私を大学に行かせましたが
久々に帰省した私との交流がうまくいかず
やらない理屈ばかりを話し、
偉そうな息子の様子をみて
せっかく大学まで行かしてやった
息子に対する不平がすべて込められたひと言に
息子もドキッとする場面です。
普段、都会で働いて
偉そうに陶芸体験をしに来たのに
簡単な皿一枚も作ることができない
自分に対して
お兄さんが気を利かして作って
おいてくれていた皿を見た時に
あまり関係ないのですが
なぜかこの場面を思い出しました。
色しか塗ってないので
愛着はあまり沸いていないのですが
1カ月後の焼き上がりを
楽しみに待っています。
P.S
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