こんにちは。
カイゼン研究会(a-Sol上海) 宇賀です。
今回のテーマは
「見える化と「気付き化」はセットで」です。
まず、見える化って、何を見えるようにするの?というと、
異常が見えるようにするということです。
そのためにはどうすれば良いの?というと、
「正常な状態とは何か?」を決めないといけません。
これがよく言う、基準を作るということです。
例えば、生産台数で言うと生産計画と1台あたりの生産時間が基準になってきます。
生産台数が100台、タクトタイムが1分とすると、生産開始から100分後に100台できていることが正常です。
100台生産できていても120分かかっていれば異常=問題となります。
そして、ほとんどの工場には生産計画とスピード(CT)という基準は工場にあるのですが、
それが本当に守れているか見えないので、
生産管理板という見える化のツールを使って1時間ごとに、正常か異常かをチェックしていきます。
そして生産量だけは見えるようになっているので、
100台作り切れていれば正常となっています。
ここに時間の概念を入れることで、異常を検知します。
ここまでが見える化の一例です。
導入後、しっかり作業者や管理監督者が、見える化のツールを使って記入し、
異常という状態が見えるようになります。
そして次にするのが「気付き化」です。
気付き化とは、見える化で顕在化した問題を確認し、
解決するために、
次に何をしなければならないかということを気付かせ、
考えさせ、進捗を管理できる状態を作るということです。
(問題解決のステップです)
見える化をして、異常、問題が情報として確認できたとしても、
工場の管理監督者にとっては
異常という情報がたまっていくだけになってしまいます。
なぜなら、
異常を解決することは
その時点では彼らの仕事として設定されていないからです。
例えば、トヨタで言うと、管理監督者の任務というのは
① 量と質の確保
② 原価低減
なので、100台を100分で作れないと異常、
原価が上がってしまっているということなので、
異常を解決するというところまでが仕事として設定されています。
(毎日の朝会で、異常があれば記録され、対策が終わるまで課長、工長からフォローされ続ける仕組みになっています。ここが見える化と気付き化がセットで運用されていること)
しかし、問題を見つけるために見える化を導入し始めた工場では
その前提が異なります。
今まで
① 量と質の確保
が仕事のすべてというルールの中でやってきているので
(これも大変なことなのですが)、
急に時間という情報を見える化して
100台を120分かかっていたら異常です、
ということだけを決めても、異常という情報を記録するだけで、
異常に責任をもって取り組むということまでは仕事にはなっていません。
(量と質は確保できていて、お客様にも迷惑をかけていないでしょ。となります。)
なので、見える化を進めるうえで
異常の扱い、責任をもって解決することである。
ということそれ自体が仕事であるということをセットで宣言し、
進捗を管理するステップを設定しなければなりません。
そして、その場では異常に現在どう取り組んでいて、
5W1Hを報告してもらい次にするべきことをアドバイスできる、
また担当者間で進んでいないのなら上司が介入しなければならないステップになります。
(それを開催できる管理者、リーダーの選任も必要)
ほとんどの工場の朝会や進捗確認などは
大きなトラブル報告、
対策ではなく処置の状況の発表の場になってしまっています。
見える化と気付き化の場や、時間、タスクを設定して初めて
日常管理のSDCAサイクル、ひいては管理監督者の日々の仕事が明確化されることになるのです。
見える化をしてただ異常という情報がわかっても儲かりはしません。
(むしろデータ取得等のコストが上がっている)
こういった記入や管理のコストが増えたとしても、異常を解決することで儲かる分(原価低減できる額)の方が勝っている状態になって初めて異常を見えるようにした意味が出てくるのです。
本日は見える化だけでなく、気付き化までセットで運用することを話しました。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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