<中国プチ情報>中国の隠れた債務問題とは??


おはようございます。

カイゼン研究会(a-Sol上海)です。

11月に中国政府が

新たに「債務管理局」を設立したことが

ニュースになりました。

 

 

日本で言うところの

財務省である「財政部」に属し

債務管理司と呼ばれます。

 

日本でもたびたびニュースになっていた

地方債務問題に本格的に取り組むための

組織を作ったということで

 

債務だけでなく、不動産不況が重なり

この問題の重要度が増していることが分かります。

 

 

 

今までとの違いを

かんたんに言うと

 

 

 

今までは

 

債務発行や利払いの予算設計

中央・地方債務

対外債務

 

はそれぞれ別の部門で管理されており

 

 

隠れ債務(正式には企業の債務)

については

各部門がそれぞれ注意喚起や

ルール作成をしていたのですが

 

 

債務という括りで統括する部門を

作ったというのが新しい部分です。

 

 

 

主な目的は

隠れ債務問題の管理強化と言われています。

 

 

 

そもそも隠れ債務とはどういうものなのか?

と言うと

 

 

中国の地方政府収入の

3割~4割を占めていた

土地使用権の売却利益と大きなかかわりがあり
ます。

 

 

 

1980年代までの

計画経済期は

土地や住宅の割り当てが行われており

土地の売買の概念はありませんでしたが

 

1990年から

土地使用権の売買が可能になります。

 

 

 

その中で

税制改革が行われ

今までの主要財源である増値税などは

中央政府管轄になり

 

地方政府は土地使用権からの収入を

伸ばす必要が出てきます。

 

 

 

不動産価格が

上がり始める時代なのですが

地方政府には制度上大きな問題がありました。

 

 

 

それは

銀行借り入れができないことと

地方債権が発行できないことです。

 

 

まだ制度不足ということで

資金調達ができない中で

考え出されたのが

 

「地方政府融資平台公司」です。

地方政府融資プラットフォーム会社と呼ばれ

(LGFV)

 

 

企業として設立され

地方政府の持っている土地を担保に

 

 

銀行からの借り入れをしたり

社債の発行を通じて

資金調達をする箱として

地方政府の資金集めの

スタンダードになっていきます。

 

 

こうやって資金調達をし

住宅やインフラの開発を行うことで

土地の価値を高め

 

 

その付近の土地使用権を

デベロッパーに売却。

 

 

売却した収入を

地方収入として使ったり

利払いに充てたりするという仕組みでした。

 

 

 

 

この債務は

地方政府の統計にはのっておらず

表向きはLGFV(企業)の債務となります。

これが

「地方の隠れ債務」と呼ばれているものです。

 

 

 

当時は

別に悪いことではなく

中国の90年代以降の成長は

この仕組みによる開発の影響が大きく

特に取り締まりの対象ではありませんでした。

 

 

91年には

地方収入における土地収入は

約4%でしたが

 

2008年には

約30%へと急上昇しますが

この時点ではそこまで問題ではなかったのです。

 

 

 

しかし

リーマンショック後の

景気対策として

 

中央政府が

大規模な投資計画(4兆元)を宣言したのですが

そのほとんどの実行は地方政府でした。

 

 

地方債権も発行できないので

上記のLGFVを使った開発を

一気に加速させます。

 

 

なので

2009年から

このLGFVは爆発的に増えることになります。

 

 

2010年代には

見えない債務が増えているという問題が

報告されるようになり

 

 

2015年にとうとう

地方債権の発行が可能になります。

 

 

地方政府のLGFVの手法

政府が担保しての借り入れなどは

禁止されることになります。

 

 

 

 

しかし、

今までの経済成長を支えてきた

LGFVは形式上は企業ということもあり

厳しく取り締まられることもなく

 

 

銀行や出資者も

最終的には政府が何とかしてくれる

という期待から、

なかなか処理が進みません。

 

 

 

違いとしては

地方債の発行には中央政府による

使用用途や

利益性のチェックが厳しくされており

合格した分だけが発行可能になります。

 

 

 

対して

LGFV経由だと

社債の発行に関するチェックのみとなり

投資プロジェクトのチェックが

政府基準より甘くなる

 

 

対して儲からないであろうプロジェクトでも

政府がバックにいるからという信用で

銀行のチェックも甘くなりがちです。

 

 

 

企業という建前なので

銀行借り入れや社債発行は違法ではないし

地方政府もこの習慣が抜けない。

 

 

 

でも地価が上がっている限り

特に仕組みとしては問題はないような

状況でした。

 

 

 

 

そんな中

コロナ後から

不動産市場の悪化が始まります。

 

 

デフォルトこそしていませんが

利払いの延期や借り換えが

各地方で発生してきます。

 

 

日本のバブルは都市中心の

少し似ていますが

 

 

日本では

都市圏の地価が崩壊した感じですが

 

 

中国では

地価停滞による

過剰在庫の売れ残りが問題になっているのです。

 

 

 

それを受けて

2024年から

本格的な債務管理を始め

 

LGFVの債務を地方政府の債務に

計上する、買い取る

ということをスタートさせます。

 

 

 

本当の

地方政府による債務が

どれだけあるのかを把握し

 

隠れ債務を

地方政府、LGFV自体のモノに仕分け

 

その後

LGFV自体を一般的な事業を行う

企業に転換させるという計画です。

(なかなか利益を生む事業が見つかっていない)

 

 

LGFV債務はGDPの約50%あるとも言われ

 

 

政府が救済するには大きすぎるし 

不良債権処理やデフォルトを進めると

市場不安が連鎖する危険性があるという

 

白黒つけにくい問題です。

 

 

 

 

 

比較的小さなプロジェクトや

企業からデフォルトさせていく

処理を進めていく

という進め方だと思いますが

 

 

それを進めるためにも

隠れ債務の量と増減の可視化、

透明化が急務であり

 

 

それを進めるために

一括管理ができる

財務管理局という組織を作ったようです。

 

 

本日の海外駐在ニュースはここまでです。

ありがとうございました。

 

 

過去記事はこちら

https://kaizenlab.online/

 

 

 

カイゼン研究会(株式会社a-Sol)

 

海外拠点の現地化・自立化を

デジタル管理と制度構築・教育でサポート。

 

デジタル化と生産性の専門家によるモニタリングにより

経営・生産性における

現地の努力と課題を数値で可視化。

 

現地に任せるだけでなく

レベルアップの続く自立した海外拠点を

デジタルと制度設計・教育で一緒に作ります。

 

現地駐在員の負担を減らし

現場に任せていける仕組みを一つずつ一緒に実現しませんか?

 

 

「こんな悩み言っても大丈夫?」

「聞いてもムダかな?」

 

と思うことでも

中国・タイ20年以上の支援実績があり

その経験から何かお役に立てるかもしれません。

些細なことでもお気軽にご相談くださいね。

 

 

毎月3社限定で

現地化率チェック無料診断実施中。

 

ご興味ある方はこのメールに

「興味あり」とご返信くださいね。

 

今の海外拠点の業務をたな卸しして、

どこが現地化・自動化できるか試してみませんか?

 

 

それではご連絡をお待ちしております。

P.S
駐在員向け
中国ビジネスニュースレターを毎日配信中。

P.S
中国拠点の管理者候補のための
トヨタ式紙1枚にまとめる問題解決研修&実践コーチング
はこちら

http://www.a-solsh.com/pdf/2050609.pdf

 

 



    ◆当ブログに関するお問い合わせは下記にてお願いいたします。

    中国現場カイゼン研究会のコラム・中国駐在ガイド
    中国や製造にまつわるアレコレを書いているカイゼン研究会のブログです。
    中国現場カイゼン研究会のコラム・中国駐在ガイド
    中国や製造にまつわるアレコレを書いているカイゼン研究会のブログです。
    中国プチ情報中国情報
    シェアする
    genba_kaizen_labをフォローする

    コメント

    タイトルとURLをコピーしました