
こんにちは!
カイゼン研究会の宇賀です。
「在庫がちょっと多すぎない??」
「3カ月分という目標値で管理されておりますよ」
「じゃあまあ、基準内で管理できているのか・・」
たな卸しのたびに起こるやり取りです。
多くの工場では在庫削減に関心を持ち、倉庫にもシステム(WMS=Warehouse Management System)を導入し、モノの出入りや量がわかるようになって在庫量に関する定期的な報告ももらい、かなり工場が進化したように感じています。
しかし、在庫はあくまで結果です。
仕掛在庫にしても、製品在庫にしても、それが生まれるプロセスの中にいろんな理由や原因、背景といった物語があります。
なぜその在庫が生まれたかをたどっていくことが、工程、計画、物流、制度、普段当たり前と思っているモノゴトを見直すスタート地点となります。
結果の数を数えても何かが変わるわけではなく、システムはその数える作業を効率よくできるようにしたというものです。
もちろん在庫量が正確にわかることにも価値があります。
しかし、把握した数値をいろんな切り口で分類し、絞り込み、生まれた背景をたどっていかないと、システムによる正確な在庫量管理は威力を発揮できません。
冒頭の話で言うと、在庫を分類せず全体としてとらえ、3カ月というあいまいな基準でチェックして終了となっており、本当にもったいない状況であります。
販売量や生産量が毎月変わる中、3カ月分という基準は、一見しっかり決まっているように見えて実は誰もよくわからないことが多々あります。
在庫はどこの工場でも重視されており、データを持っている工場が多いので在庫を起点とした問題解決は取り組みやすいのが特徴です。
カイゼンする前に現状把握のためのデータがそもそもない、ということが少ないです。
そして
■品番ごとに分類してみる
■滞留している期間で分類してみる
そんなシンプルな切り口で分析するだけでいろんな問題にたどり着きます。
例えば、
なぜかAという材料だけ多い
・仕入先のMOQが大きい
・MOQの変更には応じてくれなかった
・仕入先は購入さえしてくれば納品は分割でも可能と判明
・分割納入で材料在庫量削減及び省スペースへ
・他の仕入先も可能か聞いてみる
・3割ほどの仕入先で対応可能
・さらに削減
なぜかBという完成品が長く滞留している
・Bには通常製品と試作品がある
・その中でも試作品だけが滞留していた
・量産生産前の試作品は責任部署が決まっていなかった
・現場は知らないのでいつか使うと勘違いし、残していた
・責任部署を決め、廃棄するところまでを標準と決めた
・他の品番にも同様のことがないかチェック
・完成品在庫の削減につながった
なぜかCという加工品の仕掛品が多い
・加工品は組付が使う1日前に生産する
・生産計画では組付がCを使う予定は5日後だった
・加工は当日、Dを作る予定だった(次の日に組付が使用)
・Dは仕入先から材料の納入がされていなかった
・設備を止めないためにすでに材料のあるCから加工していた
・購買によるDの材料発注が遅かった
・そもそもDは急なオーダーだった
・材料発注が間に合うかわからないのにオーダーを受け、生産計画に組み込んだ
・営業は納期回答を購買などに相談せずカンコツで判断
・納期回答するための情報確認方法が決まっていなかった
・設備を止めないために今ある材料で早めに生産するということが起こっていた。
あくまで一部の例ですが、本当にいろんな問題が見つかってきます。
在庫をシンプルに分類し、なぜ生まれたかをたどっていくことで、思いがけず生産だけでなく他部署まで広がり、仕事のプロセスのおかしさが見えてきます。
必ず工場内の動きが見えてくるのです。
せっかく導入したシステムを在庫量の確認のみに使用するのではなく、
その在庫の裏側にある物語を探すことができればライバルに差をつける工場になっていくはずです。
最後までお読みいただきありがとうございました。