こんにちは!
カイゼン研究会の宇賀です。
今回のテーマは「200年前。世界初の工場って?」です!
雑学クイズではございません。。笑
「良い工場」ってどんな工場だろう?ということが実は本テーマです。
考え始めてみると、「利益が出る」とか「お客様を常に満足させる品質」など、自分の工場が困っている部分の裏返しがパッと頭に浮かんでしまいます。
しかし、そうではなくて、もっとすべての工場に当てはまるような共通する部分を探したい!
ということで、どこから考えるか悩みましたが、今回は普段の目的から考えるのでなく歴史から考えようと思います。
そもそもどのようにして工場はできたのか?(工場というものの成り立ち)
それによって何が変わったか?(働く人たちの変化)
という、一番最初を調べたり、考えたりしてみては面白い発見があるかと思って今回のテーマにしました。
(良い工場って何だろう?のヒントは無いかなと)
まず、工場の意味が広いのでここでは、動力が人力でない、生産施設とします。
手工業(職人が集まって手作業で生産しているようなイメージ)ではないということです。
そういう意味で最初の工場は何かというとイギリスの紡績工場です。(綿糸を紡ぐ工程)
18世紀〜19世紀にかけて水力や畜力(馬などの動力)から始まり、蒸気機関へと動力が移っていくのですが(産業革命)紡績業で工場という、大量生産の業態ができていきました。
ではなぜ紡績から始まったかというと、イギリスでの綿織物需要の増加が原因です。
以前綿織物は、インドからイギリスへ輸出されていて人気製品でした。(イギリスでは毛織物が主流だった)
しかし、あまりにも人気すぎて本来地場の産業である毛織物業界がダメージを受けるという理由から、イギリスで輸入禁止になったのが発端だそうです。。
綿が輸入で手に入らない中で一度綿製品を使った人たちは、その良さ、機能性が忘れられず需要が爆発している。
そんな中で、どうやって国内の生産で、この需要に対応していくかということから、参入者が相次ぎ、能力向上、技術革新が起こっていったそうです!
それが最初の工場ができるきっかけになったと言えます。
もちろん、イギリスの綿産業も手作業から始まり、手動機械になり、新しい動力で自動化していくという流れになります。
(自動化したところからが工場による大量生産のスタート)
新たな需要の爆発を満たすためにイギリスで最初の工場が生まれたということがわかりました。
では、今まで働いていた紡績工(熟練労働者)はこの工場が生まれたことでどう変化したのかです。
それまでは、手動紡績機ではできない細く糸を紡ぐ技術や、各紡績機のクセに応じた操作など機械で調整できない部分を経験からもたらされる技能を活かし、工場の中でも、最も立場の高い存在でした。
しかし、工場の登場によって自動紡績機の発明、導入とともに今まで技能に頼っていた作業が経験は力のない女性や子供にもできるように変化したのです。
紡績工の技術=価値が下がっていくということで導入への反対運動もありました。
ここからが意外なのですが、どんどん工場が増えていき自動設備が増えていく中で、いざふたを開けてみるとなんと紡績工の地位は下がり、採用もどんどん減らされるということは起こりませんでした。
それどころか採用数は増えていったのです。
なぜか?
それは紡績工のリーダー(管理者)としての価値が評価されたからです。
紡績工程というのは一人マシンオペレーター(紡績工)に対して切れた糸を手で紡ぐ糸継工という若手が付きます。
手動機械時代はその比率は1対1だったのですが、自動化の恩恵でスピードが上がったことで一人の紡績工に対し、8人もの糸継工が付くようになりました。
そうなると紡績という仕事はチームの仕事です。
ランダムに様々な箇所で切れる糸に対し糸継工の負荷が偏らないようにうまく管理し、指示を出し、テリトリーを作らず助け合いのできる人間関係を醸成しないとなりません。
それに加えて、糸継工を育てることで、次のリーダーにするということも任務なのです。
紡績工はこの任務を達成できなければ糸継ぎや清掃不備で、機械が止まったり、思うように紡績の出来高が増えないという事態に直面してしまいます。
そして紡績工のこの能力が評価され、工場でもリストラということは起こらなかったのです。
むしろ、工場を立てた資本家たちはこの紡績工に糸継工の採用権を残し(自分でチームを組成させる)自由な裁量を与え、工場を任せていたことがわかりました。
この当時の状況を知った時に、正直、驚きました!
調べていくうちに自動化が進むことで今までの熟練工や紡績工はより賃金の安い人たち変わっていくんだろーなー。。と、現代の工場にも活かせるヒントにはならないかもしれないなーと勝手に思っていたからです。
しかし、そうではなくて産業革命の中、工場の登場によって技術的な価値が人から機械に移っていく中でも、リーダー(管理者)として部下を動かせる人の価値は認められていた、ということです!
200年前の出来事なのですが、現代の工場、生産現場の根本に通じるものがありました!
これは何かヒントになるような気がします。
もちろん今の時代は無人の工場なども実現しそうな世の中なのですが。。。
(無人の場合の良い工場は何か??はまだわからないです。。)
「良い工場」ってどんな工場だろう??という最初の問いに立ち返ると、働いている全員がリーダー(管理者)の視点を持っている工場! 笑
という弱い結論で本日は終わります。笑
(しっかりした答えにたどり着けずすみません。。まだ考えます。)
モノ作りは人づくり、人間性尊重というトヨタの言葉を改めて考え直そうと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました!