<現場カイゼン通信>メタバースは工場に関係ある?

こんにちは!カイゼン研究会です。

突然ですが、MoTって何の略だかご存知ですか?

ちなみに、Management of Technology(技術経営)の方ではありません、

IoTのように小文字が挟まっているのがポイントです。

IoTになぞられた言葉で、○○of Thingsの略、というところまで聞けばもうわかるかもしれませんね。

ここに入るのは“メタバース”になります。

つまり、MoTとは『Metaverse of things』の略です。

モノのメタバース、という感じでしょうか。

「ほーほー、またなんかでてきたよ」

というリアクション、わかります。

私もこのワード見た時には全く同じ感想でした。

私はメタバースといえば、Facebookがぱっと思いつきます。

フェイスブックはメタバースに力を入れるとかで、21年10月に社名をMetaに変えました。

個人的には個人情報流出とかで悪くなったイメージをかわすため、的な気もしますが、それは一旦置いておいて・・・

このFacebookの社名変更で、メタバースという言葉を初めて知った口です。

実は私も調べる前までは“メタバース”の印象は、

「あのフェイスブックがやってるような、ごっついメガネかけてアバターでなんか遊ぶやつでしょ?」

とか思ってました。

しかしこのMoT、調べてみると意外と面白い!

そして、実は今後の製造業に大きく影響してくるかもしれない、というのが本日の内容になります。

では早速ですが、まず今日のカイゼン通信には横文字がいくつか登場します。

これら言葉の意味から解説していきたいと思います。

メタバース:SF作家のネル・スティーブンス(Neal Stephenson)が1992年の小説『スノウ・クラッシュ』で初めて使用したとされている。
「meta(超越)」と「universe(世界)」という二つの言葉を組み合わせた造語。
「現実世界を超越した世界」といった意味がある。
現代的な意味としては、3次元の仮想空間やサービスを指す言葉。

MoT:2023年のCESで登壇したスティーブ・コーニングにより提起されたキーワード。
CES(Consumer Electronics Show)は、毎年アメリカのラスベガスで開催される、世界最大級の家電や情報技術製品の見本市。
「MoT(Metaverse of Things)」は、現実世界のモノ(物理的なオブジェクト)を、デジタルの仮想空間に融合させる概念。
IoT(Internet of Things)などの技術を活用し、モノや設備からデータを収集・共有。
そのデータを基に、仮想空間上で新たな価値を生み出すこと。

デジタルツイン:デジタルツインとは、IoTなどを活用することで、現実世界において収集したデータをもとに、デジタル上に現実世界と同じ環境を再現。
そこで得られたデータをまた現実世界にフィードバックする手法のこと。

AR(Augmented Reality):拡張現実を指す。
現実世界の情報にバーチャルな視覚情報を加えて現実環境を拡張する技術。現実世界が主体。

VR(Virtual Reality):仮想現実を指す。
デバイスやPC、スマートデバイスなどを介して実世界から仮想空間にユーザ自身が飛び込む。
メタバースに没入するための1つの手段。
バーチャルな世界でリアルに近い体験が可能。

さて、とりあえずこんなところでしょうか。

ざーっとワードの意味の要約をまとめたので、備忘録代わりに使ってください笑

ではこれらを踏まえた上で、今日の本題であるメタバースが製造業にどんな影響を与えるのかを説明したいと思います。

まず、3年以上にも及ぶコロナにより、我々の生活、仕事などのオンライン化、デジタル化が一気に進みました。

特に中国で働く私から見た日本は意外に進んだような印象があります。

中国で働いているとあれもこれもデジタル化が進んでいて、日本の遅れが目立って見えてしまいます。

ただ、在宅勤務などオンライン化を余儀なくされたとはいえ、必要に駆られて日本が重い腰をちょっとは上げてくれたのかな、という印象はあります。

しかし、これは言ってしまえば序章に過ぎない、というのがMoTを調べて分かりました。

話を製造業にフォーカスして話します。

最近弊社も力を入れているIoTを使った設備稼働の見える化ですが、MoTは更にもう1ステップ先の未来です。

今はあくまでも我々は現実世界で物事を見て、判断して、決断して進めています。

IoTも現実世界の設備から得られるデータを現実世界で見て、分析して、判断して、カイゼン活動などの決断を行っています。

しかし、MoTはそこに仮想世界が介入します。

どうするかというと、IoTを利用してGETだぜ、したデータ達をぽんっと仮想世界に投げてしまうのです。

今はデータを現実世界で見て、分析して、とやっていますが、

それを代わりに仮想世界、 つまりメタバース上で行う、ということです。

これだけ聞くと、「別に現実世界でやりゃいいじゃん」となりそうですが・・・

例えばですよ。

そのメタバース上に御社の工場がまるっと存在していたらどうですか?

あのごっついゴーグルを装着すると、なんと目の前には今の御社と全く同じ工場が見えるわけです。

特に現場なんて、設備を含めて全く同じように再現されています。

そうなると、かなり話が変わってきます。

極端に言えば、得られたデータを利用して、そのメタバース上でシミュレーション、実験ができるわけです。

しかもメタバース上の仮想世界、いくら失敗したって誰にも文句は言われません、ひたすらトライアンドエラーが繰り返せます。

そして成功したものだけを現実世界で試せば良いわけです。

どうでしょう?

こう聞くと、ちょっと面白そうな気がしてきませんか?

以下に、MoTが製造業に与えるメリットを5つ書き出してみました。

  1. シミュレーションによる品質の向上・リスクの削減
  2. シミュレーションによるオペレーションの効率化・標準化
  3. シミュレーションにかかるリードタイムやコストの削減
  4. 現場での作業の効率化
  5. メタバース上でのプロモーションによる訴求力向上

やはりメタバース上で現実世界に限りなく近いシミュレーションが行える、というのが相当な効果を生みそうです。

とはいえ、具体的な事例がないとあれかなと思い、これまた以下にて代表的な事例を8つ挙げてみました。

  1. BMW:世界中の自動車工場を3Dスキャンしメタバース化
  2. 川崎重工:工場を丸ごとメタバース化を目指すと発表
  3. ダイキン:メタバースを活用し製造ラインのロスを削減へ
  4. 旭化成:人手不足の解消と技術継承にメタバースを活用
  5. 日産自動車:メタバース上での新車発表・試乗会を開催
  6. トヨタ:都市やサービス開発にデジタルツインを活用
  7. テスラ:車両を遠隔で自動アップデート
  8. ベンツ:トレーニングセンターにHololensを導入

このうち代表的なものでいくと、一番目のBMWの事例があげられます。

BMWはいち早くMoTを行ったことで、この界隈では上の方に情報がでてきます。

BMWは世界各地の自動車向上を3Dスキャンし、デジタルデータ化。

工場の生産ラインにデジタルツインを活用することで、生産効率の向上を図るようです。

BMWはDXの取り組みとして、「バーチャル工場」を位置づけており、工場の敷地内の全領域を可搬式3Dレーザー
スキャナーやドローンを用いてスキャン。

(2023年の上半期に完了予定)

これらスキャンなどの準備完了後、NVIDIAの提供するメタバース空間ツール「Omniverse」を使ってバーチャル工場を作成する、という流れだそうです。

このメタバース上にバーチャル工場を生成するツールをグラフィック系の半導体トップのNVIDIAが手掛ける、

というのはちょっと個人的にはおもしろい話でして・・・

NVIDIAはグラフィックの処理を行う半導体の世界トップですが、

この半導体が実はAIの処理にも相性が良いということでAI系にも乗り出して、まさかこっちのメタバース上のグラフィック処理にも乗り出しているとは…笑

ちなみに、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社が、NVIDIAのこのOmniverseを活用したメタバースの開発環境の簡易導入パッケージを提供開始しているそうです。

時代は動いていますね。

まだIoTの導入に比べて値段や工場のスキャンなど敷居が低いとは言えない段階ですが、

これがどんどん普及して

「メタバース上に御社の工場すぐ作ります!」

なんていうことができるようになれば、工場ももっと面白いことになるかもしれませんね。

本日も最後まで読んでいただきありがとうございました!

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