こんにちは!
カイゼン研究会の宇賀です。
今回のテーマは 「ドーパミンとアドレナリン??」です!
ちなみに、題名はよく使われる名称のアドレナリンとしてますが、実際はノルアドレナリンのことで、別の物質だそうです。
簡単に言うと脳はどう動いているのかという話です。
急になぜ脳の話を選んだかというと。。
中国で様々な工場に行き、カイゼン指導をさせてもらっていますが、3か月、4か月くらい経つと、どこの工場にも共通することが起こります。
カイゼン活動をチームや部署に分けて進めていく中で、明らかに開始当初より能動的になっているチームと、知識的は増えているが、開始当初のまま受動的なチームに分かれるのです。
これはどんな工場でももっというと前職の会社でも起こっていました。
前者は好奇心による質問が増えて、明らかに行動の量が増えていきます。
たとえ、間違っていても自分から変えるということが増加します。
課題をどんどん自分で設定していくようになります。
後者は知っていることは増え、その知識に部下を指摘できるようにはなるのですが、課題を与えられて、始めて動き出すというところが変わりません。
パトロール的なことをするのにとどまってしまいます。
そして、同じ工場内、会社内なのにこの差を生み出すものは何なのだろう?というのを考えたのがきっかけです。
加えて、最近無料動画コンテンツの方でも従業員のモチベーションを専門に取り組まれている【際研(上海)企業管理諮詢有限公司の石村さん】とお話させていただくことがあり、モチベーションとは何かを考えさせられる機会をもらいました。
なので、今まではボヤっとした問いでしたが、一度しっかり勉強し、考えてみようというのが今回になります。
それで、何から考えようかということですが、
以前、人が考える方法にはどのようなものがあるか?で「(演繹法と帰納法)」をやりました。
今回はこの能動的、受動的という問題が、その人の学習が得意、不得意とはあまり関係なく起こるなという感覚があるので、そもそもの考えるということを行っている脳を勉強してみよう!というところからスタートしています。
(A)自ら進んで動く時とそうでない時はどう違うのか?(脳の仕組み)
(B)今まで見てきた現場ではどうか?
(C)今後どう進めていくか?
という流れで進めていけいればと思います!
(A)自ら進んで動く時とそうでない時はどう違うのか?(脳の仕組み)
本を読んだり、ネットで研究を見た結果、自分から進んで動く、つまり高い意欲がある時はものすごく大まかに言うと2つの物質が影響しているようです。
それが①ドーパミンと②ノルアドレナリンです。
神経細胞(ニューロン)間の伝達を行い、神経細胞を興奮させたり抑制させたりする神経伝達物質の1種だそうです。 かなり難解です。。とにかくこれの量が影響しているいるらしいです。
まず①のドーパミンについてですが、一言で言うと、楽しい、うれしいなど、快感を得るときに分泌される伝達物質です。
物事に夢中になっているときやもっと学びたい、これがしたいなど、快を求める行動、興味関心意欲に影響するようです。
そして、これが分泌されているときは、記憶力、集中力も高まっている状態で、快の情報を感知し、自分から求める行動を引き起こすということです。(ポジティブなイメージを求めて動いている状態)
そしてネガティブな気持ちを抑え、快にだけが注意が行く働きが起こり、自分から動くことのエンジンになる物質だそうです。
(厳密にはドーパミンが増えた後にベータエンドルフィンという快楽物質が増加し、脳内でのネガティブを抑えるらしいのですが、ややこしいのでドーパミンでひとくくりにします。。)
次は②のノルアドレナリンです。
本来は戦闘の際に興奮を起こし、生命の危機を乗り越えるために力を出さなければならないときに効果を出します。
困難に立ち向かう力にもなりますが、ドーパミン(ポジティブなイメージ)が少ないとあきらめる、逃げるという方向にも力が出てしまいます。
仕事で言うと、緊張感やプレッシャーのかかっている状況下でより力を出し、集中力、記憶力を高めたりする効果があるようです。
(アドレナリンが出ている!というのは、よく聞きますね)
しかし①と違う点は、注意(集中)の矛先がネガティブな刺激にも向かってしまうことです。
(物音やイライラする情報などにも気が行ってしまう)
もともとは生存確率は高めるためにどんな情報にも敏感になり、対応できる状態になる効果ですが、今の時代では、それがマイナスの効果になってしまいます。
そして①と②のバランスが取れている状態が自分で能動的に動けているときの脳の状態ということです。
①のドーパミンだけでは自分からは動くが続かない(手を出しては止める、3日坊主)
②のノルアドレナリンだけでは、自分から動いているのではなく、不快な状態を回避しようとする動機が強い。あきらめようとする気持ちになる。
この2つがそろったときに(ポジティブを求める力と緊張感のバランスがある状態)自ら進んで動く状態となるようです。
では次に
(B)今まで見てきた現場ではどうか?
を見ていきます。
脳の話を知ったうえでカイゼン活動の現場を見てみます。
基本的に生産現場、工場というのは(オフィスでも?)組織、指揮系統も固定されており、どちらかというと軍隊的なイメージを私は持っています。ポジティブなイメージを求めて(ドーパミンで)行動しているというよりは、指令に従って遂行していく感じです。(プレッシャーによるノルアドレナリンで動くことが基本)
カイゼン活動でも、リーダーがいて工場の課題に対して、チームに指示を出したり、アドバイスしながら進めていくのが通常の流れになります。
(締め切りや、上司からのプレッシャーが強い動機になっている)
もちろん成功を褒めたり、自分がいない間にも、何か変化を見つけたり極力褒めていき、成功体験を作ってもらおうというのはしていますが、基本的にはノルアドレナリンな環境ではないか?(すごい造語ですが。。)
なので能動的になれないのはドーパミン不足なのではないか?というのが、ここでの仮説です。
では次に
(C)今後どう進めていくか?
です。
今までの流れで言うと、ドーパミンをカイゼン活動の中でどう出していくか?なのですが、
そもそもポジティブイメージ、快感、うれしさ、楽しさを求めることがどういうプロセスで起こっていくのか?
ということを知らないといけません。
それを調べていくとポジティブな記憶が条件として必要なことがわかりました!
どういうことかと言うと、体験や学習を通して脳の神経細胞は物事や感情を結び付けます。
そして何回もそこが刺激され結びつくことでどんどん強くなっていくようです。
これが記憶に残っていく仕組みです(じつはこれはポジティブな体験でもネガティブな体験でも同じ)
逆に刺激で一度結びついても、使わないまま時間が空くと、結びつきがなくなります。
(記憶がなくなる訳ではないですが、また忘れて初めて学習したときと同じくらいの感覚になってしまう。)
記憶がポジティブであれば、それを求めるようになりネガティブであればそれを避けようとします。(無意識的に)
ここが自ら動く人とそうでない人の分かれ目なのではないかということです。
今後どう進めていくのか?ということに戻ると
①定期的な刺激が必要
カイゼン活動として、課題と納期を決めて定期で取り組む
(ノルアドレナリンを出し、行動させる。)
そしてドーパミンを出すために重要なことは
②やったことの良かった点を振り返り、言語化する
カイゼン活動をお手伝いする時は、初めて取り組むところや一度やってみたけど、うまく習慣にならなかったというところが多いです。(神経の結びつきが弱い状態)
まず初めてすることというのは脳内でもエネルギーを使うため、基本的には避けようとしてしまいます。
(ポジティブな記憶がないし、神経を新しくつなぐ、記憶ができるということに、普段していることよりもエネルギーがいる)
加えて人間の脳は悪いところ(ネガティブな差)を意識するようになっている、ということがキーポイントになります。
これは実際に改善に取り組む人たちも、それを評価する人たちも、基本的には足りていないところ(ネガティブな差)に目が行き、差を埋めていく進め方です。
それは仕方ないのですが、そこを逆手にとって、あえてそれを崩す時間を設定することでポジティブな記憶が作られ、ドーパミンを出すために不可欠でないかということです。
活動を通して何か変えたところがあれば褒めてあげるというだけでなく、
そのときなぜその行動をとったか?進めるうえで大変だったこと、もしくは今も大変なところは何か?どうやってそれに取り組んだか?
というプロセスを一つ一つ思い出してもらい、ポジティブな記憶として残す場が必要だと思います。
(自分で良かったところを見つけ、説明するのは難しいし慣れていないので、質問したり、その人の代わりに気付いてあげないといけない)
これを活動とセットでやっていき、ポジティブな記憶を作っていくということを考えていきたいです。
(成功体験がすぐにできた人はどんどんドーパミンが出てきますが、そうでない人にも作ってあげる。という設計)
ちなみに
良いところを見つけるという習慣作りは、対自分・対他人ともかなり意識しないとできません!
一度前職の時代に報告会のルールを変えてみたことがありました。
報告後、批判的な内容や、不足している点を指摘するのを禁止し、良かったところを探して、伝えるというルールにしたことがあります。
(この会議はいつも批判の応酬で、あまり楽しくないなというのがあったので、リーダーになった時に変えてみました。笑)
すると、初回は全く意見が出てこなかったです。
意見が出ても批判的で、発言の途中で「あ、間違えて指摘してしまっている!」と気付くこともありました。
(報告が悪すぎるということではなくて。。笑)
普段、かなりシャープな着眼点で意見を出される先輩方もなかなか思いつかないようでした。
しかし、2回目、3回目になってくるとどんどん出てくるようになってきました。
そういう点もあるか!という着眼点で良いとこを見つけ出す人も出てきました。
要するに、それくらい慣れていない作業なのですね、良いとこを見つけるというのは。。
だから逆にルール化しないとその視点で物を見れない、つまり、ポジティブな記憶を作る環境ができない、そしてドーパミンが出にくくなる!笑
これを考えるヒントにしていきたいと思います!
長々と抽象的な話をしてしまいましたが、
自ら能動的に動くためにはドーパミンが必要。
そのためにはポジティブな記憶がないといけない。
良かった点、変えた点を結果を褒めるだけでなく、プロセスを詳細に聞いて、尚且つ当事者が言語化して記憶にポジティブな感情と共に残していくことが必要。
というのが今回の話でした。 本日も最後までお付き合い頂きありがとうございました!