こんにちは!
カイゼン研究会の宇賀です。
今回のテーマは
「それの何が問題なのか?」
問題解決への取り組み方についてです!
この言葉は前職で新人時代から、ことあるごとに言われ続けてきたトラウマの言葉です。。笑
年の近い先輩にちょっとした軽い気持ちで、ちょっとこんなことで困ってるんですよーと相談しても、
急に目つきが変わり「それの何が問題なんだっけ??」と聞かれたことを今でも思い出します。。。
また、トヨタでは昇格試験で自分の職場テーマを選び7STEPでの問題解決を実施し、上層部に報告します。
その報告会が終わると管理職からの質疑応答に入るのですが、ここが鬼門です。。
問題解決の発表をしているにもかかわらず「そもそも、何が問題なんだっけ?」という質問が飛んできます。
この質問が飛んでくるともう報告会が悲惨なくらい荒れます。笑
なぜかというと、
今回の問題は、何で困っていて、解決したことで職場ひいては会社にどんなメリットが出たのか?
ということが全く伝わっていない。
つまり
「それがなぜ問題なのか?」がしっかりわかっていないよね
と指摘されている訳です。
(凍り付く体験でしたが、勉強させていただきました。)
この質問はなかなか考えさせられるもので、
本当に取り組む価値があるものなの?
その問題になっている業務には本来どういう意味があるの?
ということや、
なんでお前はその問題に目をつけたんだ?
というきっかけとなる理由を、自分で理解してから、取り組めよというアドバイスだと思っています。
抽象的な話が長くなってきたので、困っているけど、問題がわからない方の体験談を話します。
私はおかげさまでたくさんの工場を回らせてもらっておりますが、工場に着くとまず、現場の管理監督者の人たちに自分の職場の困っていることを聞いていきます。
何も上がってこない職場ももちろんありますが
(困らないやつが一番困る・・大野耐一さんの名言)
管理者の方によっては責任や課題意識があり困りごとを次から次へとあげてくれます。
しかし、大部分の困りごとが以下のような形となります。
・購入部品の受入検査漏れが発生してしまうのですが、どうしたらよいですか?
・お客様の発注変更がよくありますが、どうしたらよいですか?
・人がすぐやめてしまうのですが、どうしたらよいですか? etc
すべてに共通しているのが、
なにが会社にとって困るのか(問題)かを理解し、把握する前にHow(解決策)に取り掛かろうとしていることです。
1つ目の例で言うと、対策は
受入検査漏れが発生するので検査の頻度をロットから全数にするべきですか?
という質問が続けて出てきました。
その前にやはり何が困るのか、何が問題なのをはっきりさせるということをしないといけません。
ここで、なぜ検品が漏れるの?と聞くのはNGで原因を人のせいにしてしまい、チェックリストなどを作ることが対策になってしまいます。
なので、なんで?と考えるのも問題がはっきりした後でないといけません。
ここで言う検品が漏れることは問題ではなく、
検品の漏れた部品が、そのまま後工程に流れてしまうことが問題です。
(検品する意味を考えないといけない)
そして、そんなときに限って品質問題が起こった経験があるので、その方は検品漏れが困りごとと感じていたのです。
検品未完のものが後工程に流れていくことが問題だと認識できれば、そのあとはプロセスを追いかけて行き、
どこで問題が発生したかを突き止めます。
■プロセス
部品納入(ヤード)→受入検査場→検査待ち置き場→検査終了→生産ラインへの運搬
また聞いていくと、受入検査場が狭いので、最初から検査待ち置き場に置いてしまっておりそのタイミングで担当者が変わり、検査が漏れてしまったとのこと。
しかし、この答えはまだ問題を検査漏れとしています。
それは問題ではなく、検品未完のものが後工程に流れていくことが問題です。
ここで初めてなんで?が出てきます。
問題のあるプロセスは検査待ち置き場なので、
なんで検査の終わっていないモノがそこから動くのか?
という追いかけ方です。
(先ほどのように問題をまだとらえきれずに回答している場合が多いので、こちらも見失わないように追いかけます)
本来なら検査終了の表示を張ったモノだけ動かせるはずです。
結局は検査終了の表示が形骸化しており(貼ったり、貼らなかったり)、
物流もそれを見て運ぶというルールになっていなかったようです。
「検査終了の表示が形骸化していた」
ということが次のなんで?の対象となります。
ここまで見てきた例のように最初の
何が問題なの?何が困りごとなの?
というとこがはっきりしないまま原因追及、対策に進むと、
せっかく困りごととして社員のセンサーに引っかかりカイゼンの種を見つけられそうだったのに、
本当に取り組むべき問題を放置したまま会社にとっても何の利益にもならないという結果になってしまいます。
(むしろ変な対策による追加工数で不満も原価も高まる)
ここがはっきり捉えることができない原因は2つあって、
1つ目は、全体の視点で見たときに、最終的に誰に影響が出る問題なのか?を考えていないということ。
自分が責任者だからもうミスは起こしたくないという気持ちで、困り事になっている方が多いように見えます。
(視点のスコープが狭くなっている)
2つ目は仕事の目的がずれてしまっているということ。
日々の業務を滞りなく回すことが目的となってしまいそもそもなんでこの仕事してるのか?
というのを忘れてしまっています。
(仕事本来の意味から考えることができていない)
例で言うと、検査を100%遂行することは目的でなく悪いものを流さないことが目的です。
以上のようにそもそも、それの何が問題なの?ということをはっきりさせるためには、当事者に質問してあげないといけません。
目的を意識させ、最終的にどんな影響が出るから困ってるんですよね?と理解が進むような質問です。
当事者もそこの本当の問題に気付くと的外れな対策は出てこないようになります。
さっき上げた例でも、問題に気付いた後は担当本人が自らアドバイスを求めることなく、問題を解決しました。
やはり1番難しいのが問題はここだと気付く部分なので、そこに気付くようなサポート、そして、自分で気づくことが尚良いので(習慣になる。)、質問の形式で発見してもらうことが良いと思います。
本日は「それの何が問題なの?」という質問に絡めて正しく問題、困りごとを認識することが大切だということを長々と書かせていただきました。
最後までお読みいただきありがとうございました!
