こんにちは!
カイゼン研究会の宇賀(うか)です。
今回のテーマは問題解決のSTEP1「問題の明確化」です!
すごく簡単にまとめると
あるべき姿と現状のギャップ = 問題
をはっきりさせます。(その後STEP2で問題を分解していきます)
しかし、実は問題をはっきりさせるだけではなく、このステップは
何のために自分たちは問題解決をしたいのか?
カイゼン活動をなぜ始めるのか?
その先に目指すことは何か?
という大義、コンセプトを煮詰める部分になります。
問題解決のテクニックというよりは活動全体の方向性・意味を考える部分です。
参考に問題解決の全8ステップを以下に記載します。
STEP 1 問題の明確化 ← 今回のテーマ
STEP 2 現状把握 (問題の層別)
STEP 3 目標の設定
STEP 4 要因解析(なぜなぜ分析)
STEP 5 対策立案
STEP 6 対策実施
STEP 7 効果の確認・評価
STEP 8 標準化
カイゼン活動を進めるときに、トヨタでは基本的にこのステップに沿って進めます。(現場も技術者も事務員も)
問題の明確化という名称なので早速、問題解決に向けて動き出すように見えますが、1度立ち止まって、視点を高く上げて考えることから始まります。
この重要性が今回のテーマです!!
大まかな流れでいうと
- 企業を取り巻く環境(需要動向や競合他社や技術トレンド)
- 企業としての使命
- 工場の使命(工場という機能としての目的)
- 自部署の使命(仕事の目的)
- 自分(達)の使命(仕事の目的)
と高い視点から自分自身の視点に下げていき、自分の使命を果たすために、このテーマに取り組むんだ!
と宣言します。
そしてその扱うテーマ(問題)についてあるべき姿と現状を誰が、いつ、何を、どの程度、どうなっている状態の項目で比較しギャップ(差)を問題と定義するところまでです。
例)
製造ラインの不良率低減
あるべき姿 製造課が毎日、不良率0%で生産している。
現状 製造課が毎日、不良率20%で生産している。
ギャップ 不良率20%で生産している。
さて、会社の使命から考えるなんて大きすぎて実感がわかないですよね。。
私も初めて取り組んだときは、恥ずかしながら社員であるにもかかわらずTOYOTAのHPで社長の言葉を探しました。
正直に言うと問題解決やカイゼン活動を進めるために意味があるというより報告のための飾りなんでしょ?と思っておりました(笑)
確かに企業方針や工場方針、部の方針といったスローガンは大きな意味で書かれており、意味の取り方も人によって変わります。
(ちなみに自分の時は、「もっといい車を作ろうよ」でした。)
一人で進める問題解決の場合、企業方針、工場方針、部方針を集めてきて、丸写ししそれに合うように自分の使命を決め(現場の原価改善に貢献する為等)このテーマに取り組む!とあまり考えずに宣言して、問題解決を進めておりました。
しかし、年次も上がり、いざまとめ役として、数十名でのカイゼン活動を新たに企画し、推進する立場になった時に、このSTEP1をおろそかにしたツケが来ます。。
カイゼン活動を始めるにあたり今回新しく取り組むテーマは
これだけ工数低減効果があります!
仕事も楽になります!
だからまず現状把握をこうしましょう!
こういう役割分担で進めましょう!
私としては、細かく丁寧にプランを作り何をするのか、だれが何を、いつまでにするのかまで決めたので計画通り動くだろうと甘く見てました。
しかし全然動いてくれないのです。進捗通りにいかない。
動いてくれたとしても、とりあえず早く終わらせるためにこなしているのがわかるようなものばかり。
なんで効果の見込みもあり良いことしかないカイゼン活動なのに進まないのか?と、かなり悩み、メンバーにも相談しました。
そこで見えてきたことはカイゼンそのものの内容や効果が理解されてない訳ではなく、自分たちの組織はカイゼンの先に何を目指しているのか?ということが見えないということです。
→それで活動が後回しになっていた。(なんで変えるの?今で十分だよと)
私は数値目標などあるべき論を掲げて進めていましたが、メンバーにとっては、この活動が自分から遠いもののように感じていたようです(=傍観者のように感じてしまっている状態)
私の失敗はSTEP1でこのカイゼンを進めることでこれだけの金額で企業に貢献できるんだ!ということだけメンバーに説明し、すぐに問題解決への行動を始めようとしていたことです。
じゃあ自分たちの職場はどう変わり、どんな恩恵を受けるのか、ということまでは考えず、ましてやメンバーとのコミュニケーションもしないまま早急に活動を始めておりました。。
コミュニケーションを丁寧に行わず飛ばしてしまったことにより問題ははっきりしているが、なんでこの活動を始めるの?ということが、実際に進めるメンバーにとってぼんやりしたままでした。
しかし、だからといって一人一人と相談して私たちは何を目指すのか考えるのは現実的ではありません
実際は各リーダーやこいつはならと思うキーマンを選び(製造課でいうと管理監督者のポジションの人たち)STEP1の議論を通し自分たちの使命やこうありたい姿を決めます。
取りまとめ役がある程度、STEP1のたたき台は持ってきますが、あくまでも参加者の議論ベースで作ります。
自分はこの活動に参加している!
自分も考えたんだ!
という実感を各リーダーに持ってもらわなければこのステップに意味はありません。
それが固まった後初めて(必ず文字や図、グラフにして宣言する)カイゼン活動のスタートです!
大きい組織になるほどビジョンや使命は遠い存在で、実際に考えた人は熱を持っているのですが階層を下って自分の元まで落ちてくる間に(社長→役員→部長→・・)冷めた情報になってしまいます。もちろんさらに熱くして次に渡す人もいます!
カイゼン活動をスタートするにあたり、自分たちは何を目指すのか?その先にどういう職場でありたいか?を議論し、活動者間で共通の理解にしておくことは必須です。
そして、このカイゼン活動期間は会議や報告会やワーキングがあるたびに何度もしつこく確認する。
自分たちはこれを目指しているんだよね?と。
カイゼン活動が進むと目の前のことで、いっぱいになってくるので定期的に、視点を上げた話をする場が必要です。
新しいカイゼン活動の開始、チームの発足、またメンバーは同じでも新たに力を入れて取り組む活動の場合、このSTEP1で自分はこのカイゼン活動の先に何を目指すのかは考えた!すでにはっきりしている!と思って活動する人がどれだけいるかがその後の活動や推進力に影響します。
決めたのちに各リーダーは部下やメンバーたちとコミュニケーションをとります。
(これだけを話す会議をしても良いくらい)
決定事項としてただ伝えるのではなく、どう思うか?
ほかにも目指す先はあると思うか?
という意見交換を行い、可能な限り取り入れるのがベストです。
(率直な意見は必ずだしてもらい巻き込む)
これで初めてカイゼン活動、問題解決を組織としてスタートする準備が整ったと言えるのだと痛いほど思い知らされました。一人で進めていた時は気付かなかったですが。
抽象的な話になってしまいましたが、カイゼン活動や問題解決を新たに始めるというのは、上層部から見れば1つのプロジェクトですが、実務者からすると現状の仕事からプラスで実施する仕事です。
カイゼン後は楽になると言ったところで、現状の仕事量が増えるのは明らかなので、推進力は停滞します。
カイゼン専任の人材を配置するのが肝ですが、組織でのカイゼンを進める中ではどこかで必ず、現状の仕事量より増える人は生まれます。
この場面で各自が自発的に活動に取り組むか?建設的な意見を出すか?もしくはリソース不足を原因に停滞するか?
これを分けるのはSTEP1の段階でどれだけ多くのメンバーが目指すその先をはっきり理解しているか、(させているか)、そしてこの活動は自分とつながっている取り組みなんだな、と参加意識が生まれているかです。
こいつはと思う部下には、構想段階で早めに入って議論しておく
本日はSTEP1の問題の明確化にあたりどうしてその問題に取り組むか?その先に何を目指すの?ということを組織で考えることの大切さ
またカイゼン活動に取り組む管理者、リーダー、メンバー間の優先順位見ている視点を合わせていく作業としてSTEP1が必要ということを長々と話させて頂きました。
本日も長々とお付き合い頂き、ありがとうございました!