<TPS>「5回のなぜ」より大切なことートヨタの問題解決手法STEP 2「現状把握」

さて、今回のテーマは5回のなぜ(なぜなぜ分析)より大切なことです。

それは

どこどこ分析(=どこが問題なのか突き止めること)』です! ※whereの意味です

これはトヨタ勤務時代に叩き込まれ、最も大切にしている考え方なのですが、なじみのない方も多いと思うので補足しますと、正式にはトヨタの問題解決におけるSTEP 2「現状把握」(問題の層別とも呼ばれる)部分です。

参考に問題解決の8ステップを以下に記載します。

  • STEP 1  問題の明確化
  • STEP 2  現状把握(問題の層別) ← 今回のテーマ
  • STEP 3  目標の設定
  • STEP 4  要因解析(なぜなぜ分析)
  • STEP 5  対策立案
  • STEP 6  対策実施
  • STEP 7  効果の確認・評価
  • STEP 8  標準化

トヨタではカイゼン活動を進める際、現場も技術者も事務員も、基本的にこのステップに沿って進めます。

この中では、5回のなぜ(なぜなぜ分析)が有名ですが、実際に一番力を入れる部分肝となる部分)はSTEP2(現状把握、問題の層別=どこどこ分析)です。

・ STEP1では現状困っている問題や取り組みたいテーマを決める(生産性の向上、不良低減等の大きな問題)

実際は会社の使命と仕事の目的といった、高いレイヤーから問題の選定に入りあるべき姿と現状のギャップを具体的に数値で表現しますが、それはまた別の機会に・・・

・ STEP2ではこの大きな問題を分解し、問題点を特定する。

現状どこで問題が発生しているのか? または、どこに多くの問題があるのか?

一番効果の出る場所を突き止める、これがどこどこ分析!!

・ STEP3以降でその問題点を解決するために分析及び対策を実行していく

という流れになっています。

さて「解決したら一番効果が出る場所はどこだろう?」と考えるのは一見当たり前のように聞こえます。

さらに言うと、設備が止まって動かなくなるなど、現場で緊急を要する種類の問題が発生した場合、「どこが問題なんだ??」というところから始めることは、スピードの違いはあれど、多くの方が当たり前のように実行します。

ところが問題の種類が変わり生産性の低さ、慢性的な不良率高等の経営に直接影響する問題や、

経営者や上層部としては早急に解決すべき大きな問題だが、ラインストップやお客様に製品が出荷できないというような現場の緊急事態に直結しない類の問題の場合、どこが問題か?突き止めることができていないことをよく見かけます(ゆでがえる状態)。

現地管理者も心の中では何かこの製造課は効率が悪い、生産性が低い、もっとうまくやれば出来高が上がるんじゃないの?とは思っています。

しかし現状、差し迫った問題が発生しているわけでもなく毎日乗り切れているから、そのままになっているというのはよくあります。

結局どこが問題点なのか曖昧なので、指示も出せない。

企業や工場としての目標(生産性向上等の大きな問題)があることは認識しているが、進まない。

そして未達してしまう。

今までの経験から言えるのは、

多くの職場は問題解決ができないからカイゼンが進まないのではなくて、課題意識はあるが問題を特定できなくてカイゼンが進まないということ

カイゼンを進める当事者にとって問題が大きすぎてぼんやりしていることが問題なのです。

カイゼンは問題点を見つける→問題解決という順序ですが、経営者や上層部としても、どこが問題点だ!というところまで分解してあげて、現地の管理者に伝えるというのは時間がいくらあっても足りません。

ではなぜ、大きな問題に対して、上層部から毎日のように言われているにも関わらず、取り組むべき問題点を自ら探し見つけられないのか?どこが悪いのか探し出さないのか?

それは手掛かりとなる情報がないから、つまりツールがないのです。

自分の感覚や経験で、

多分ここが問題だ!
こう対策したらうまくいく!

ということを繰り返してしまいます。

情報がない、ぼんやりとした日常の中で、取り組むべき問題点がどこにあるかは探せません。

情報を集めるツールは、どこどこ分析をする糸口として必ず必要になります。それが見える化の徹底です。

  • 生産管理版(計画と実績、タクトタイム/サイクルタイム)
  • 人員配置図及び人員計画
  • 設備や工程ごとの停止時間や可動率目標と実績の表示
  • 在庫管理の計画と実績、及び置き場表示

挙げるときりがないですが、こういったツールはすべての作業に正常・異常の基準を設定し異常管理の仕組みを張り巡らせることを目的としています。

この基準(計画)とのずれが、問題発見の糸口となります。

大きなところから細部まで網を広げていきます。

まずは、製造ライン→各工程で生産計画と実績を記入し問題のある工程が絞れて来たら、次は作業を観察というのが進めやすいのではないでしょうか。(標準3票等で作業の基準を作る)

TPSは異常管理を通した問題発見のシステムです。

基準と照らし合わせ問題を浮き彫りにし、なぜなぜをし、対策を打つ。

そのサイクルが原価低減につながります。

そのためには、問題発見につながる情報を取れるようにしておかなければなりません。

見える化は問題を見つけるための道具です。

これがなければどこが悪いのか突き止めることはできません。

探す手掛かりがない。。。

問題の発見・特定(どこどこ分析)を仕組みにするには、まず見える化を始めることが地道ですが、一番の近道です。

その範囲は現場に限らず、広ければ広いほど良いです。

どこが問題かをたどっていった結果、事務所側や営業側の情報出しやずさんな計画が問題だった。。。なんてこともあります(現場はそれに従って効率が落ちていた)。

この正常・異常という基準を一度決めると現地管理者監督者も、問題を認識するセンサーが強くなります。

定時内に帰れるか、未納がないかなど、定性的主観的な基準で判断する余地はなくなるので問題(異常)が隠れなくなります。

→現地管理者の毎日のチェック及び上位者への報告はもちろん必要です(そうしないとすぐに、元に戻る)。

見える化の網を張り巡らせる。これがスタートです。

そして次に、どこで問題が起こっているかを捕まえます。

今回はどこが問題なのか?

それを特定することが有名ななぜなぜ分析より大切であるということを長々と書かせていただきました。

最後まで読んで頂きありがとうございました!

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